戸籍と姓の問題
夫婦の戸籍を分ける離婚届
離婚とは、婚姻関係を解消することです。結婚している間、夫婦は同じ戸籍に入っていますが、離婚によってそれまで一緒だった家族の戸籍を別々に分けることになります。つまり、離婚すると、夫婦は別の戸籍に入ることになり、戸籍上も分かれる(別れる)ことになります。
離婚するには、離婚届の提出が必要です。そして、協議離婚と裁判離婚では、若干手順などが異なります。
離婚届
離婚届の用紙については、各市町村役場・区役所・出張所で入手します。
未成年の子がある父母が離婚するときには、「面会交流」および「養育費の支払い」についてチェックを記載するようになりました。これは任意ですが、福岡市ではこれに記入するよう呼びかけられています。
提出窓口
福岡市では、区役所市民課・出張所で受付をしています。
休日や時間外でも受付(受領)をしています。ただし、後日開庁時間に審査をしてから受理を決定します。
届出できる人
委任は認められていません。ただし、記載された届書を持参するのは、対象者本人でなくとも構いません。
協議離婚
夫と妻のどちらかが提出することになります。調停・裁判離婚の場合は、通常は、調停の申立人または訴えを起こした原告が提出します。
調停・裁判離婚
調停・裁判離婚の場合は、原則、申立人または離婚の訴えを起こした原告(夫または妻)が提出します。
調停・和解の成立、請求の認諾または審判・裁判の確定の日から10日を過ぎて届出をしない場合、相手方からも届出ることができます。ただし調停条項等で「相手方の申出により離婚する」と定められているときは、相手方から直ちに届け出ることができます。
なお,10日を過ぎて届出を行う場合には、「戸籍届出期間経過通知書」も併せて提出することになります。
届出方法
当事者の本籍地、所在地のいずれかの市区町村の役所の戸籍担当に提出します。持参するか、郵送します。休日や時間外でも受付されます。
離婚に伴い、国民健康保険や国民年金の届出が必要になる場合があります。福岡市の場合は,各区役所の窓口でご相談ください。
協議離婚
証人として離婚届に成年者2名分の署名と押印が必要です。
裁判離婚
証人の署名と捺印は不要です。
届出期日
届出期日は、協議離婚か裁判離婚かによって異なります。
協議離婚
届出によって成立します。夜間や休日、年末年始でも届出できます。
いつ届出をするかは協議で決めます。届出期間はありませんが、届けない限り離婚は成立しません。
裁判離婚
調停や和解の成立、請求の認諾または審判や裁判の確定の日から10日以内に届出なければなりません。10日を過ぎた場合は、「戸籍届出期間経過通知書」を併せて提出してください。「戸籍届出期間経過通知書」の用紙は、福岡市の場合は,区役所市民課の窓口にあります。
必要なもの
福岡市の各区役所・出張所に届け出る場合、次の書類が必要です。協議離婚と裁判離婚では必要書類が異なるので注意してください。
必要書類(協議離婚)
- 提出書類1「離婚届」
- 提出書類2「戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) 1部」 ※福岡市内に本籍がある方は不要
必要書類(裁判離婚)
協議離婚における提出書類1と提出書類2に加え、次のものが必要となります。
- 調停離婚 「調停調書の謄本」
- 審判離婚 「審判書の謄本と確定証明書」
- 和解離婚 「和解調書の謄本」
- 請求の認諾離婚 「認諾調書の謄本」
- 判決離婚 「判決書の謄本と確定証明書」
必要となる持ち物(共通)
- 届出人の印鑑
※届出人本人以外の方が記載済みの届書を持参する場合は、届出人の印鑑は不要となります。
必要となる持ち物(協議離婚)
- 届出人の本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、健康保険証など)
各種変更届
氏(姓)が変更された場合、各種変更が必要となります。
住民票関係の届出
離婚のため引っ越しをする場合は、住所異動の手続きを行ってください。届出の際、本人確認が行われますので、本人であることを証明できる書類((運転免許証やパスポートなど)を持参してください。
- 転入届(市外・区外・国外から移った時)
- 転出届(市外・区外・国外へ移る(移った)時)
- 転居届(区内で移った時)
- 世帯変更届
印鑑登録の届出
離婚により印鑑登録をしている一方の氏(姓)が変更になる場合、「氏」または「氏と名」の印鑑で登録しているのであれば、自動的に登録は廃止されます。新たに印鑑登録が必要な場合は、手続きが必要です。
姓が変わらない方や、「名」のみの印鑑を登録されている方は手続きの必要はありません。引き続き使用できます。
国民健康保険と国民年金
離婚により国民健康保険に加入している人の氏名や住所が変更になる場合、新たに国民健康保険に加入する場合、国民健康保険以外の保険に加入する場合などは手続きが必要となります。
また国民年金においても、氏名の変更の手続きやその他手続きが必要になる場合があります。
手当・助成など
各種手当、医療費助成などを受けている場合、手続きが必要になることがあります。
ひとり親家庭等医療証の手続き
市内で居住し、健康保険に加入している場合、次のうちいずれかに該当する人を対象に医療費を助成しています。
問い合わせ先は、福岡市の場合、各区役所の「保険年金課保険係」や出張所となります。
- 母子家庭の母及び児童
- 父子家庭の父及び児童
- 父母のない児童
子供への手当
問い合わせ先は、福岡市の場合、各区役所の「子育て支援課」となります。
- 児童手当
- 児童扶養手当
- 特別児童扶養手当
障がい者への福祉
問い合わせ先は、福岡市の場合、各区役所の「福祉・介護保険課」または「健康課」となります。
筆頭者の戸籍と筆頭者でない人の戸籍
筆頭者とは、戸籍の最初に記載されている人のことです。この筆頭者の姓を、在籍者全員が名乗ることになります。筆頭者は世帯主と異なり、亡くなっても筆頭者の名前が残ります。離婚後は、筆頭者の戸籍は変わりません。そして筆頭者でない人は、次の選択をすることになります。
もとの戸籍に戻る
結婚前に属していた親の戸籍に戻ることができます。つまり、本籍地も親と同じものになります。
新しい戸籍をつくる
新しい戸籍をつくる場合、さらに2つの選択をすることになります。結婚前の旧姓で新しい戸籍をつくるか、それとも結婚時の姓で新しい戸籍をつくるかです。
離婚後の姓を決める
筆頭者でない者の離婚後の姓は「民法767条第1項」により、原則的に旧姓に戻すとされています。もし結婚していたときの姓を使い続けるのであれば、離婚の日から3ヶ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出しなければなりません。この期限を過ぎてしまった場合は、家庭裁判所への申し立てが必要となります。
また、やむを得ない事情がある場合には、離婚時に選択した姓を後から変更することもできます。離婚後、かなりの時間が経過していても変更が認められた例もあります。しかし、慎重に姓を選ぶべきなのは言うまでもありません。
子供の姓を考える
子供のいる夫婦が離婚をすると、子供の姓をどうするかという問題が出てきます。
子どもの姓については、下記のページも併せてご参照ください。
本コラムは平成30年7月12日に執筆されたものです。記載内容につきましてはその時点の情報をもとに作成されております。また、内容に関しましては、万全を期しておりますが、内容全てを保証するものではありませんのでご了承ください。